トップページ

ご案内
会長挨拶
日本透析医会便り
会則
20周年記念誌
関連団体
入会案内
厚生労働省からのお知らせ
会員施設

情報コーナー
透析のお話
HUS対応可能医療機関
県民相談コーナー

災害情報ネットワーク

会員専用
お知らせ
会員一覧
保険請求について


 
日本透析医会便り
はじめに

 日本透析医会常務理事の太田圭洋です。平成30年4月に診療報酬改定が行われ、透析含む腎代替療法は、フォーカスを当てられ大幅な見直しが行われました。特に人工腎臓手技料に効率性という考え方が導入されたことにより、その後、各地からの情報提供では、大きな影響が出ているようです。今回の日本透析医会だよりは、今年の診療報酬改定に関してご報告させていただきます。

平成30年度透析診療報酬改定

 平成30年度の診療報酬改定については、早い段階で透析医療が今回の改定で狙い撃ちされるのではないか、という情報もあり、実際、2017年10月26日の経済財政諮問会議で透析医療を適正化すべき、という方針が出されるなど、強い政治的圧力を意識せざるを得ない厳しい状況で、日本透析医会として対応してまいりました。
 2017年12月8日の中央社会保険医療協議会(中医協)で腎代替療法が議論されました。論点として、腹膜透析・腎移植の推進に資する取り組みや実績の評価、障害者加算の評価の充実、長時間血液透析の評価、腹膜還流の一部入院基本料の包括範囲の見直しなどと同時に、血液透析の効率性を踏まえた評価の適正化、慢性維持透析濾過(複雑なもの)の時間区分を分けた評価の適正化、水質確保加算の適正化が提示されました。
 「血液透析の効率性を踏まえた評価の適正化」とは透析ベッド数に対し患者数が多い所の診療報酬を引き下げるもので、これまで一貫して医療の質に応じた評価を求めてきた日本透析医会としては、「効率性」という医療の質との関連が示されていない指標で診療報酬が区分される方針は、到底納得できないものでありました。同日の中医協では、日本医師会の松本純一委員から上記の論点に対し、効率の高い施設も不適切な透析を行っているわけでなく、限られたベッドを活用して地域における多数の透析治療の需要に応えているにすぎないこと、また、そうした施設で利益率が高いというデータも示されていない中で、過度の引き下げが行われた場合、地域に大きな影響が出ること等、医療側委員として懸念を表明していただきました。
 厚生労働省保険局医療課の担当者に対しても、上記の日本透析医会としての考えを再三伝えるともに、2017年11月29日には、
 1.消費税を考慮した適切な人工腎臓点数の設定
 2.5時間以上の人工腎臓「2」慢性維持透析濾過における配慮
 3.有床診療所の療養病床での慢性維持透析加算の算定可能化
 4.障害者加算の見直し
 5.腹膜透析患者への血液透析実施時の施設限定の撤廃
を内容とする平成30年度診療報酬に際する要望書を保険局医療課課長宛に提出しました。
 様々な働きかけをしましたが、施設の効率性で診療報酬を区分するという方針は変わらず、2018年2月7日の中医協の答申で点数等が公表され、4時間透析で「効率性」の低い施設で35点、最も「効率性」の高い施設で120点の引き下げになり、また透析液水質確保加算の1が廃止、2のみとなり、実質1透析あたり10点の減額になることが明らかになりました。
 一方で複雑な慢性維持透析濾過(=オンラインHDF)での時間区分の設定、長時間透析加算の新設、障害者加算、夜間加算の増点が明らかになりました。この中には上記の日本透析医会の要望書に含まれた項目や、透析施設の効率性で判断するなら、夜間透析に対する悪影響が懸念されるため配慮する必要がある、など日本透析医会として具体的に要望していたものもあり、診療報酬削減をする場合にも、医療の質が担保されるような配慮をするよう求めていた医会の要望がある程度反映された結果となりました。
 3月5日には、厚労省からの通知で診療報酬改定の詳細が公表され、透析ベッド26台以上の施設において、透析ベッドに対する患者数が3.5と4.0で診療報酬の点数が区分されることが明らかになりました。

 以上が、診療報酬改定に対する日本透析医会の対応に関する概要ですが、今回の改定は前例のない異様な経過を辿りました。厚生労働省保険局医療課による異例の透析施設に対する実態調査が行われ、昨年秋以降、何度も複数のマスコミから透析診療報酬の削減を正当化する記事が発信されました。内閣直轄の経済財政諮問会議で、不合理な資料を元に、かなり強引に透析診療の適正化(=診療報酬引き下げ)が訴えられたことは、今回の透析診療報酬削減について、かなり高いレベルで政治的圧力が働いたことを示唆するものと考えます。
 今回の改定では効率性が高い透析医療機関の人工腎臓点数の大幅に引き下げが行われましたが、日本透析医会は効率性が高いというだけで、一部の透析医療施設に対する診療報酬の引き下げを行うことには反対である旨、繰り返し厚生労働省に訴えてきました。
その理由は、
 1.効率性が高い医療施設も、決して不適切な透析を行っているわけでなく、限られたベッドを活用して地域における多数の透析治療の需要にこたえているに過ぎず、効率的に医療を提供することを妨げる結果となること
 2.効率性による区分が設定された場合、透析施設における受け入れ患者数の事実上の上限が決まってしまい、新規患者に透析治療の必要が発生した際に、施設に受け入れの余裕があっても受け入れが困難になる可能性があること
 3.効率性が高いとされた施設が必ずしも利益率が高いというデータもなく、大幅な診療報酬の引き下げは、地域の透析医療に大きな影響が出る可能性があること
の3つです。
 これらの内容については日本医師会や医系議員の方々にもご説明させていただき、前述のように中医協においては、日本医師会の松本純一委員から、医療側委員として懸念を表明していただきましたが、今回の改定における大きな政治的圧力に抗えず、残念ながら効率性による診療報酬区分の新設を止めることはできませんでした。
 一方で、厚生労働省の担当者レベルでは、透析医療の現状や、医療の質を担保する制度を求める日本透析医会の姿勢についても、ある程度理解していただいた上で、日本透析医会として、改定の悪影響を最小限に留めるよう、厚生労働省の担当者に働きかけました。
 具体的には、効率性の高い医療施設の引き下げ額の軽減、小規模施設への配慮、夜間透析実施施設への配慮、患者数の計算方法・透析用監視装置の台数の計算方法の工夫、など現場の状況を踏まえた提案をさせていただきました。また、導入期加算の算定要件や腹膜還流や移植の実績の条件なども、極力、透析医療施設が算定しやすいように修正をお願いしてきました。回復期リハビリテーション病棟、地域包括ケア病棟における腹膜透析技術料の包括からの除外に、腹膜透析液や交換セット等の特定保険材料の包括からの除外が加えられたのは、日本透析医会からの働きかけの結果実現したものです。
 以上のように、極めて厳しい今回改定の状況の中で、透析医療への影響を極力減らすよう日本透析医会としては努力してまいりました。今後、今回の改定の影響を掌握し、不合理な効率性による診療報酬区分の廃止を含め、透析医療の質を担保する診療報酬に向けた働きかけをしていく所存です。会員各位のご理解、ご支援を引き続きよろしくお願い申し上げます。

おわりに

 以上、述べてきたように、今回の診療報酬改定では透析にフォーカスを当てられ、厳しい結果となりました。今まで日本透析医会は、対厚労省にデータにもとづく理詰めの交渉を行ってきたわけですが、今回の改定では、厚労省以外の医療に関わるさまざまなステークホルダーが、透析診療報酬に大きな影響を及ぼしうるということを示す結果となりました。
 国民や政治家の透析医療に対する理解が十分でないことはもちろんですが、医療界の中でも、多くの医療者が、過去の透析医療のイメージを引きずり、現在の透析医療、透析医療機関の置かれた状況をしっかりと理解いただいているとは言えない現状は、今後の透析に関わる診療報酬や医療制度に、ネガティブに働く可能性が高いと言えます。
 いうまでもなく日本透析医会の最大の使命は、日本の透析医療が健全に行われるように、診療報酬含め医療制度を整えていくことにあります。しかし、現在の透析医療のおかれた厳しい環境の中、それは容易なことではありません。毎年、日本透析医会だよりで書かせていただいておりますが、この状況を改善していくためには透析医の団結が必要です。現在の透析医療のおかれた状況を分析し、理論武装し働きかけていく必要があることは当然でありますが、実際の交渉過程では、より生々しい組織力、そしてその組織力に裏打ちされた交渉力が重要です。残念ながら、愛知県透析医会会員の約半分は、いまだに日本透析医会へ加入していただいておりません。ぜひ、日本透析医会にご加入いただき透析医の組織としての力を高め、透析医療の将来のために力をお貸しいただきたいと思います。
 (文責 太田圭洋)

 

愛知県透析医会事務局
COPYRIGHT(C)2010 愛知県透析医会 ALL RIGHTS RESERVED.