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日本透析医会便り
はじめに

 日本透析医会常務理事の太田圭洋です。この原稿を書いているのは5月後半で、愛知県は新型コロナウイルス感染症の特別警戒都道府県の指定が外されている状況です。現在までに愛知県では5人の透析患者が感染されたと報告されています。しかし今は3月初めのようなドタバタ感は薄れ、今後、必ず来るであろう第2波に向けて、地域の透析患者の受け入れ体制(急性期 から回復期、維持透析まで)を検討していくことができるような状況となってきました。ぜひ、各先生方も今後の新型コロナウイルス感染症への対応に関して、愛知県透析医会と一緒になって考えていただきたいと思います。
 新型コロナウイルス関連の情報は、日々更新され新しい情報がどんどん出てきますが、今回の日本透析医会便りでは、情報提供として2020年4月の診療報酬改定の内容と日本透析医会の対応に関して報告させていただきます。

1.2020年診療報酬改定の内容 ※本記事下部PDFファイルをご確認ください。

2.2020年改定の経過と日本透析医会の対応

 2020年度の診療報酬改定については、前回2018年改定において透析医療がフォーカスをあてられ大幅な引き下げ改定となったことから、日本透析医会としてどのような方針になるのか情報収集を綿密に行い対応してきた。
 2019年7月29日には、秋澤会長以下役員が厚生労働省保険局医療課を訪問し2018年の診療報酬で新設された透析用監視装置あたりの患者数による透析技術料の区分、いわゆる効率性による区分の廃止を強く要望するとともに、HIF-PH阻害剤保険収載後の人工腎臓点数に関しての日本透析医会としての考え方を伝えた。
 HIF-PH阻害剤保険収載後の人工腎臓点数に関しては、理論的には、@現在のESA包括の点数の中で請求する、AHIF-PH阻害剤使用時には、人工腎臓4の出来高点数で請求する、BESAそのものを包括点数からはずす、C人工腎臓の包括点数はそのままで、HIF-PH阻害剤の出来高請求を認める、の4つの可能性があるが、日本透析医会としては、院外処方の場合の事務処理の煩雑さはあるものの@「現在のESA包括の点数の中で請求する」を要望した。
 同時に、2020年の日本透析医会の改定要望として
 1.2019年10月の消費税増税に伴う負担増加も考慮した適切な人工腎臓点数
 2.医療療養病棟やDPC病棟等におけるブラッドアクセスカテーテル挿入手技料の算定
 3.有床診療所の療養病床における慢性維持透析管理加算の算定
 4.病態を限定して月17回までの請求できる透析回数制限の緩和
 5.障害加算の見直し
 6.感染症患者に対する加算の新設
 7.腹膜透析患者の血液透析併用の施設限定の廃止
 8.慢性維持透析患者外来医学管理料におけるエテルカルセチド、エボカルセト使用時の取り扱いの修正
 の8点を要望した。
 9月以降、保険局医療課より2020年の診療報酬改定について日本透析医会に意見を求められ、さまざまな対応を行った。9月の時点では、HIF-PH阻害剤の上市に伴う人工腎臓点数に関しては、HIF-PH阻害剤を院外処方した場合の点数とそれ以外の点数に区分するという案が厚労省から示された。しかし当初の厚労省案は、人工腎臓点数が、効率性による区分、透析時間による区分、そして今回新設のHIF-PH阻害剤院外処方による区分と、あまりにも体系が複雑となるため、厚労省としては時間区分の廃止を検討したい旨が伝えられた。これに対して2002年改定における時間区分の廃止により日本の透析時間が短時間にシフトした過去の事例を丁寧に説明し、良質な透析医療の提供体制を維持するためには時間区分の見直しは避けるべきと強く意見具申し、最終的には認められることとなった。
 同時に、経皮的シャント拡張術・血栓除去術(PTA)の点数については外保連の調査結果を踏まえ下げる方針が示された。点数を下げるのであれば3ヶ月ルールを緩和して頂きたい旨を要望し、後日、中医協での議論の資料として日本透析医会役員施設のPTA施行の現状(3ヶ月ルールに抵触する比率、患者毎の年間PTA回数の分布)を提出した。また血管エコーや造影の評価によって前回から3ヶ月以内であってもPTAが必要かどうかを臨床的に判断できることを説明し、具体的な基準についても提案し最終的に医会の案が採用されることとなった。
 2019年10月9日に中医協総会で腎代替療法が取り上げられ、2020年の診療報酬改定で、ESA(赤血球造血刺激因子製剤)のバイオ後続品が発売され実勢価格が下がっていることを踏まえたESA包括の透析技術料を引き下げること、HIF-PH阻害剤を用いる場合に透析技術料に新たな包括点数が設定されること、CKD患者に対し移植を含めた腎代替療法に関する情報提供を行う施設に何らかの評価を行うこと、腹膜透析患者の血液透析併用の施設限定を見直すこと、PTA点数を引き下げることが提案され了承された。PTA点数の引き下げに関連して、日本透析医会が提供したデータが中医協に提示され、3ヶ月ルールが何らかの条件付で緩和される方針も示された。
 2019年11月19日に、はじめての経口腎性貧血治療薬であるHIF-PH阻害剤ロキサデュスタット(商品名:エベレンゾ)が薬価収載されたが、それに先立つ11月13日の中医協総会では2020年3月末までの暫定的対応として、ロキサデュスタット錠は院内処方のみ可能とする、という案が了承され、11月18日に保険局医療課よりその内容で留意事項通知が出された。これに際して日本透析医会から情報を会員医療機関に周知することを保険局医療課から依頼され、直後に医会会員あてに情報発信を行った。
 2020年2月7日の中医協総会の答申として個々の点数を含む改定内容の概要があきらかとなった。医会からの要望事項であった腹膜透析と血液透析を併用する場合の要件の見直し、慢性維持透析患者外来医学管理料におけるエテルカルセチド、エボカルセト使用時の取り扱いの修正が織り込まれた。
 人工腎臓の導入期加算に関しては、臓器移植ネットワークに新規登録患者、腎移植が実施され透析を離脱した患者が合計前年度3人以上という一般の透析施設にはかなり厳しい条件とされた。この条件に関しては、慢性透析患者外来医学管理料の腎代替療法実績加算に影響し、維持透析施設での同加算の算定が困難となるため、臓器移植ネットワークへの新規登録だけでなく更新の登録を認めていただきたい旨、再度、強く申し入れを行なった。その結果、前述のように4月16日の事務連絡通知により、医会からの要望が認められ要件を緩和させる解釈が示された。
 PTAの技術料は18080点から12000点と大幅減点となる一方で、「シャント閉塞」あるいは「超音波検査において、シャント血流量が400ml以下又は血管抵抗指数(RI)が0.6以上の場合」の条件を満たす場合、前回施行から3ヶ月以内1回の施行に限り、12000点が請求できることが示された。このエコー所見による条件は、前述のように日本透析医会が事前に提案したものが採用される形となった。
 慢性維持透析の人工腎臓点数については、事前の中医協総会の方針どおり、これまでのESAを包括した点数とHIF-PH阻害剤を院外処方した場合の点数の2種類に分けられることとなったが、答申で示された内容ではESAを使用せず腎性貧血が管理できる患者に対して、HIF-PH阻害剤を院外処方で使用した場合の低い点数でしか請求できなくなることが判明した。このままでは長時間透析や透析液の清浄化などで腎性貧血が改善しESAが不要になると低い点数でしか請求できなくなるという矛盾が生じ、ESA包括の意義を大きく揺るがすことになるとして、日本透析医会から厚労省の担当部署にあらためて強く修正を求めた。結果として3月5日に発出された改定に関する通知・告示において、上記の医会から指摘した点については修正され、ESA製剤を使わない場合でもHIF-PH阻害剤を院外処方しない場合にはESAを包括した点数で請求できることとなった。またESA製剤としてエポエチンベータペゴル(商品名ミルセラ)が除外されていた点に関しても通知・告示において修正されることとなった。

おわりに

 年々、透析医療機関を取り巻く環境は厳しくなっています。2020年改定でも人工腎臓点数は大きな引下げが行われました。日本透析医会として、さまざまな要望をし意見を厚労省に伝えることで、ある程度、影響を緩和することはできましたが、透析医療機関の経営には厳しいものとなりました。前回改定と今回の改定の経緯を経験し改めて実感しましたが、透析医療に対する風当たりは、政治の世界のみならず医療界の中でも非常に厳しいものがあります。その中で透析医療の実情を理解いただき、適切に透析医療を行っていくことができる環境を維持していくことは決してたやすいことではありません。毎年、日本透析医会だよりで書かせていただいておりますが、この状況を改善していくためには透析医の団結が必要です。現在の透析医療のおかれた状況を分析し、理論武装し働きかけていく必要があることは当然でありますが、実際の交渉過程では、より生々しい組織力、そしてその組織力に裏打ちされた交渉力が重要です。残念ながら、愛知県透析医会会員の約半分は、いまだに日本透析医会へ加入していただいておりません。ぜひ、日本透析医会にご加入いただき透析医の組織としての力を高め、透析医療の将来のために力をお貸しいただきたいと思います。
(文責 太田圭洋)


※※1.2020年診療報酬改定の内容は下PDFファイルをご参照ください。
添付資料

 

愛知県透析医会事務局
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