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20周年記念誌 |
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自己紹介 |
春日井市民病院 内科部長 |
渡邊 有三 |
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【自己紹介】
春日井市民病院 内科部長 渡邊 有三 昭和26年3月9日生まれ
医者とは縁もゆかりもないのに、大学紛争のあおりを受けて名古屋大学医学部に入学し、自然の成りゆきで医師に仲間入りしました。名古屋第一赤十字病院での初期研修中に腹水再静注を試みることがあり、その際に増子記念病院の川原弘久・山崎親雄両先輩の暖かいご指導と甘言に騙され(?)、中村日赤で独りで腎臓病を始めることになりました。教科書を読みながら始めたIPDはトラブルの連続で、HDにより順調な社会復帰が可能な増子病院での治療を思うと忸怩たるものがあり、途中からは増子に依頼して沢山の患者さんにHDを施行していただきました。その後第三内科に帰局してから透析のイロハ・シャント手術などを増子で習得し、何とか腎臓の医者の仲間入りをさせてもらいました。小生自身大学生活が20年間と長かったこともあり、ネズミ相手の実験もやってきましたが、臨床研究については増子・日赤という中村色街をフィールドにさまざまなことをやらせて頂きました。増子和郎理事長や山崎親雄院長の学究的な基本方針と協力がなければ今の私はないと感謝の念でいっぱいです。平成9年6月より春日井市民病院に赴任し、臨床生活に戻りました。本来臨床が大好きなので今の環境に満足していますし、病診連携事業の一環として近隣の透析施設の患者さんの後方支援病院として多忙な毎日を過ごしています。さらに当病院の円滑な運用には欠かせない研修医を集めることも今の私にとっては重要な任務です。学生のポリクリや講義、硬式野球部のコンパを通じ、甘言を弄しながら人集めに腐心しています。川原・山崎両先生のようなカリスマ性があるわけでないので、まるで女衒のような毎日ですが、若い学生諸君と話をするのも楽しみな毎日です。当春日井市民病院は平成10年11月24日に全く新しい病院となって再出発します。透析ベッドも20床に増えますし、何か新しい臨床研究をやりたいと思うこの頃です。今後とも宜敷くお願い致します。
【透析医療の将来】
透析医療に携わって20有余年。そろそろ中堅というよりもOBといえるような年になりました。その20年前、小生が大学で臨床研究を始めた頃に開発された活性型ビタミンD製剤は透析患者の二次性副甲状腺機能亢進症などの腎性骨異栄養症の治療に画期的な薬剤として注目されました。実際にその臨床効果は絶大であり、当初は腎性骨異栄養症は治癒する病気とまで思われたものです。しかし、現状は如何でしょうか?二次性副甲状腺機能亢進症の根絶はおろか透析アミロイドーシスなどの新たな合併症も出現しています。現在の透析療法は、ある程度までは完成された治療方法といっても過言ではないと思いますが、解決せねばならない問題はまだまだ山積しています。このような合併症を根絶するための様々な取り組み(長時間透析・透析液の清浄化・新しいダイアライザー・環境ホルモンが無視できる回路材質・全く新しい発想の透析療法など)は今後も続くものと思われます。つまり、透析に対する学術的な研究もさらに進み、もっと良い透析が可能になると思います。
一方、透析そのものに対するnegative windは否定できません。たとえば小生が現在勤務している市民病院は後方支援病院という性格もあり、合併症の発生で出戻りの患者さんや転院困難な患者さんばかりが殆どでその患者背景は特殊です。高齢者で脳血管障害などの問題を抱えている患者さん・家族の介護の見込みの薄い患者さんを観るにつけ透析の将来のみならず高齢化の波に曝される日本の医療の将来を観るようで気持ちは暗澹たるものです。今後の日本で順調なGDP増加はあまり期待できません。このような予測の下で、GDPに占める医療費の総額を制限しようとする今の厚生省・大蔵省の発想に立脚するかぎり、医療界の将来は決して明るいものではないと思います。特に透析のように一人当たりの費用が大きい治療に対してはある程度の制限が加わっていくと私は推測しています。たとえば、透析導入に際してその患者が導入することにより十分な社会復帰が可能であるというようなことが治療を許容する最前提となるのではないでしょうか?
その反面、現在の遺伝子工学の進歩はすさまじいものがあります。クローン豚の出現などはその最たるもので、移植が進まない日本でもxenotransdlant(異種移植)が透析治療に代わる治療として推進されるのではないでしょうか?。医師ならびに国民全体の論理観念が十分育成されない中で遺伝子工学は進歩し、手塚治虫のブラックジャックではないのですが、サイボーグ人間が町中を闊歩する姿も夢の中にでてきます。今こそ、生命の輪廻転生を基本に論理観念を熟成させることが肝要と思う毎日です。
【施設紹介】
春日井市民病院
〒486―8510 春日井市八田町2―43―1
Tel;0568-81-4186
Fax;0568―57-0067
当市民病院は平成10年11月24日より全く別の地に新病院を建設し移転します。新病院では現行の血液浄化療法のみではなくCAPD療法も導入の予定です。現在の透析台数は12台で月水金は午前午後の2クール、火木土では午前の1クールのみです。最大収容能力は36名です。病棟での出前透析用の機器も1台あります。その他には血漿交換、血漿吸着などの治療法を行っています。当院は春日井地区の地域基幹病院であり、近隣のサテライト施設と密接な関係をたもちながら運用されています。ちなみに平成9年6月の小生赴任時より平成10年5月までの1年間の新規導入患者38名、急性腎不全導入は17名、血漿交換は6名、血漿吸着(PMXカラム)は8名でした。近隣透析施設からの紹介転院患者数は20名で当院での処置後戻られています。新規導入患者も通院可能な患者の大半はサテライト施設へ紹介されています。現在の医師配置は渡邊有三部長、畑中勇二医長、成瀬友彦医長の3名が腎透析部門の主体で佐々木洋光医長、三澤健太郎医師の2名が応援してくれています。日本透析医学会の教育指定病院です。今後とも宜敷くお願い致します。
ホームページアドレスはありますが、コンピューター室においてあり一般的には使用されていません。愛知県医師会の情報にアドレスはあります。
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