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20周年記念誌 |
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透析医会の誕生から振り返って |
医療法人偕行会 名古屋共立病院 理事長 愛知腎臓財団 常務理事 |
川原 弘久 |
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透析医会の誕生から振り返って
医療法人偕行会 名古屋共立病院 理事長
愛知腎臓財団 常務理事
川原 弘久
愛知県透析医会が20周年を迎えられたこと誠に大慶であります。今日まで透析医会を支えて
こられた歴代の会長・役員の皆様に心から御礼を申し上げます。
思えば透析医会が生まれたのもそれまで高額で高収益を誇っていた透析医療がその医療費が
25%切り下げられたのがきっかけでした。今日はといえばその当時以上に透析医療費の抑制が
強くなっており、透析医療機関も増加してそのマーケットはむしろ狭少となっているため透析医療
機関の経営状態は今後も苦闘が続くことが予想されます。
一方透析医療も大きな変化をしつつあります。かつては透析医療ができれば即専門医療機関で
ありましたが、今日それだけでは透析医療機関の機能としては不十分であります。すでに御承知の
如く透析患者の原因疾患は糖尿病・高血圧(高齢者)にシフトしてきており、この疾患から生じる
腎不全では血管障害・感染症・悪性腫瘍の合併症の頻度が高いという特徴を持っています。
とりわけ血管障害では脳血管・冠動脈・下肢動脈に障害が多く、このことは透析患者のQOLに
著しい影響を及ぼします。このため各医療機関が工夫をもってこれらに対応して医療機関としての
差別化を企って ゆくことが肝要と思われます。同時に血管障害を考えると下肢にブラドアクセスを
作ることは大変危険なことであり、そのために上腕のブラッドアクセスをどのように維持してゆくかは
今後の透析医療にとって最大のテーマであります。
現在中京病院の透析医療部長であり日本透析医学会の理事の天野泉先生は、このために
ブラッドアクセスインターベンションを日本の中心として研究され、研究会も主催されております
ことは愛知の透析医療にとって至宝といえるでしょう。ブラッドアクセスは「古くて新しい」問題で
あります。
現在小生は愛知県病院協会副会長、名古屋市医師会理事、愛知県医療法人協会常任理事と
各種の医療団体の活動をしておりますが、激変する医療とくに厚生省の一貫性のない医療
政策には頭を悩まされます。その中で考えることは全ての医療団体は個々の医療機関の
経営までは保証できないということです。いうなればこれまでの護般団方式を厚生省は
廃棄したわけで、今後の医療機関の生存には山海のようにある医療情報の中から自己の
医療機関に必要な情報を取り入れて変化してゆくことと思われます。
日本透析医会も有用な医療情報をこれまでのように素早く提供して頂くとともに、さらに国の全体の
医療政策も会員に流して頂くような強力な組織になって頂くことを強く期待するものです。 |
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