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日本透析医会便り
はじめに

 日本透析医会常務理事の太田圭洋です。早いもので効率性の基準が人工腎臓技術料に導入された不合理な2018年診療報酬改定から1年3カ月が経過しました。また来年4月には2020年(令和2年)改定が行われます。また、今年は10月に消費税率引き上げに伴う診療報酬改定も行われることになっています。
 この間、透析の世界ではさまざまな問題が発生してきました。東京都下水道局を発端とする下水道排液基準の問題や、福生病院における透析中止に関する騒動などです。また災害に関しても、西日本豪雨災害や、北海等のブラックアウトなど、地域の透析医療に大きな影響を及ぼす災害もありました。これらの問題に日本透析医会は、日本透析医学会と協力し、適切に対応してきました。
 今回の日本透析医会便りでは、情報提供として2019年10月の消費税率引き上げに伴う診療報酬改定、および2020年度改定の環境に関してご報告させていただきたいと思います。

1、2019年10月の消費税率引き上げに伴う診療報酬改定

 診療報酬改定は通常2年に1回行われますが、今年は10月に臨時で消費税率の引き上げに伴う診療報酬改定が行われます。社会保険診療は非課税となっているものの、医療機関が医療を提供するのに必要なさまざまな医薬品や材料、サービス等の購入時に支払う消費税が増加するため、その増加分を診療報酬で補填するために実施するものです。
 しかし100%正確に個別の医療機関の消費税負担増加分を補てんすることは難しく、以前から、特に病院関係者からは、消費税対応を診療報酬ではなく税制上の還付により行うよう要望してきました。残念ながら結果としてこの要望は通らず、2014年の5%から8%に消費税率が引き上げられた時と同様に、診療報酬で補填することとなりました。
 問題は、その補填の仕方の方法です。どの点数にどれくらい増点すればいいのか、正確な答えはありません。どれだけ精緻な補てん方法を考えても医療機関ごとに補填状況にばらつきが存在します。一部の医療機関には余分に補填され、一部には補填が不足することになります。
 2014年の消費税率引き上げ時には、基本診療料という外来では初診料、再診料、入院では入院基本料に補填するという形が取られました。主に維持透析が行われる診療所では初診料が12点、再診料が3点上乗せされました。これにより大変な問題が透析領域に発生することとなりました。
 透析医療は、外来単価が5000円程度の内科や整形外科と比較し、外来単価が3万円近くなります。当然、その収入に比例するように課税経費も多く、一律の外来再診料への補填では、外来単価が高い透析にとって補填不足となることは火をみるごとく明らかでした。また、透析技術料にはさまざまなものが包括されています。透析液や生食、抗凝固剤、ESA等です。これらの医薬品、診療材料の消費税補填は、薬価や償還価格に上乗せする形で補填されることになっていますが、それら薬剤等が包括されている透析の技術料を上げていただけなければ、薬剤等購入の際の消費税負担増も、われわれ透析医療機関には補てんされないことになります。
 上記の理由から、消費税率引き上げ時の補てん方法に関しては、2014年改定の際にも、またその後も、日本透析医会は継続的に厚生労働省や日本医師会に情報提供と要望を行ってきました。本年10月の消費税率引き上げ時の補てん方法に関しては、昨年の夏以降、中央社会保険医療協議会の医療機関等における消費税負担に関する分科会で議論が進められました。日本透析医会は保険局医療課、日本医師会等へ透析技術料である個別項目への補てんを強く要望するとともに、中医協委員への情報提供等も実施し、一部の診療領域を担う医療機関に、理不尽に消費税負担が増加することが無いよう働きかけを行いました。
 しかしながら、今回の消費税改定においても、個別項目への補てんは行われることはないという結論になりました。10月改定では再診料が1点増点することのみが、透析医療機関への補てんのほぼすべてとなり、前回、5%から8%への税率引き上げ時の日本透析医会の調査結果をもとに推定すると、1透析あたり200円弱の負担増加となります。
 現在、日本透析医会は、再度、会員医療機関に消費税負担の増加に関するアンケート調査を実施しています。しっかりとしたデータを収集し、今後も継続的に関係各所に働きかけを行っていく予定です。

2、2020年4月改定の環境

 診療報酬改定は2年に1回行われますが、その改定は予算編成作業における厚生労働大臣と財務大臣の大臣折衝で決定される改定率に基づいて保険局医療課を事務局として中央社会保険医療協議会で議論されることになっています。改定率とは、実体として次年度の医療費全体をいくらにするか決定することを意味しています。その決められた医療費をさまざま細かく分配する作業が診療報酬改定です。現在、医療費全体の約4割は国・地方の税金で賄われる形になっているため、社会保障の中でも割合の大きい医療費は、予算作成に及ぼす影響も大きく、昨今の我が国の厳しい財政状態の中、非常に厳しい改定率の設定が持続しています。
 改定率がどうなるかで診療報酬改定がどれくらい厳しくなるか決まるわけですが、次回の2020年改定の改定率は、改定財源の捻出が困難なことから非常に厳しい改定率(大幅な本体マイナス)となる可能性が高いと噂されています。ここ数回の改定は、薬価の引き下げで捻出した財源を利用し、求められている社会保障費の自然増を抑制する財源とし、また、さらに診療報酬本体の改定財源に充てることでさまざまな点数の改定を行ってきました。2018年改定は、診療報酬・介護報酬の同時改定で惑星直列の大改定になると噂されていましたが、改定財源がある程度確保できたことから、多くの医療機関の経営に甚大な影響を与えることなく現在に至っています。
 しかし、次回改定では薬価の引き下げによる財源を2019年度の社会保障費の自然増を抑制する財源としてすでに使ってしまったという事実があります。現在、我が国の財政運営は、経済財政諮問会議において決定され毎年6月に閣議決定される経済財政運営の基本方針(いわゆる骨太の方針)にもとづいておこなわれています。今年の6月に閣議決定された骨太の方針2019でも、過去3年と同様に社会保障費の自然増を高齢化による増加分に相当する伸びに収めることが決められており、今年度の予算では1000億円弱の自然増圧縮が必要となると予想されています。薬価改定による財源の捻出が難しい中、医療以外の社会保障分野での財源確保が難しければ、診療報酬本体の大幅なマイナス改定が避けられない状況です。その意味で、2020年改定は2002年の大幅な引き下げ改定、2006年のESA包括を行った改定に準ずるくらい透析医療に大きな影響が出る可能性がある環境にあると言えます。
 前述したように、10月に行われる消費税改定でも透析医療機関はかなりのダメージをうけることとなります。今後も引き続き透析医療への適切な財源確保と点数の設定を訴え続けていく必要があります。

おわりに

 年々、透析医療機関を取り巻く環境は厳しくなっています。2018年改定では透析医療はフォーカスを当てられ、かなり大規模な適正化(評価の引き下げ)が行われました。2019年10月の改定でも、透析医療機関にダメージが生じる結果となりました。前回改定と今回の消費税改定における働きかけで改めて実感しましたが、透析医療に対する風当たりは、政治の世界のみならず医療界の中でも非常に厳しいものがあります。その中で透析医療の実情を理解いただき、適切に透析医療を行っていくことができる環境を維持していくことは決してたやすいことではありません。毎年、日本透析医会だよりで書かせていただいておりますが、この状況を改善していくためには透析医の団結が必要です。現在の透析医療のおかれた状況を分析し、理論武装し働きかけていく必要があることは当然でありますが、実際の交渉過程では、より生々しい組織力、そしてその組織力に裏打ちされた交渉力が重要です。残念ながら、愛知県透析医会会員の約半分は、いまだに日本透析医会へ加入していただいておりません。ぜひ、日本透析医会にご加入いただき透析医の組織としての力を高め、透析医療の将来のために力をお貸しいただきたいと思います。(文責 太田圭洋))

 

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