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日本透析医会便り
はじめに

 愛知県透析医会の会員の皆様、昨年からのコロナ騒動の中、直接お会いする機会が極端に減少しておりご無沙汰しております。本年度から日本透析医会の副会長を仰せつかることになった太田圭洋です。2019年11月に中国武漢で発生が確認された新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)による急性呼吸器疾患(COVID-19)は全世界の社会全体に多大な影響をおよぼすパンデミックとなり、この文章を書いている2021年7月に入っても、まだ収束の兆しは見えておりません。多くの会員の方々もこの1年はコロナ対応に追われてこられたのではないかと思います。
 予想していたこととは言え、透析医療は他の疾患と比較して新型コロナウイルス感染に脆弱であるということを痛いほど思い知らされた一年でした。透析患者の感染時の死亡率が高いことのみならず、週3回の通院が必要であること、一か所で多人数が治療をうけるという透析医療の特殊性から、感染防止対応にも一般医療と違い大変苦労することとなりました。また地域における透析治療を行うことができる入院隔離病床の絶対的不足など、感染透析患者の治療体制の確保は多くの地域で困難を極めたと聞いています。特に入院調整困難時の対応などでは各地の透析医会の果たした役割は非常に大きかったのではないかと思います。
 今回の日本透析医会ニュースでは、そんな1年の日本透析医会の動きに関して簡潔にご報告させていただきます。

1.新型コロナウイルス感染症対応

 日本では2020年1月に感染者が初めて確認されたのち、国内透析患者の初めての発生が報告されたのは3月1日に福岡県からでした。日本透析医会は、新型コロナウイルス感染症が、高齢者・基礎疾患を有するものでは重症化しやすいとされていたことから透析患者にとっては大きな脅威となることに早期より注視しさまざまな対応を感染拡大早期から行ってきました。2020年2月4日には新型コロナウイルス関連に対する透析施設での対応について(第1報)をホームページに掲載し、その後も順次、さまざまな会員向けの情報提供を継続してきました。2月27日の常任理事会では、変化する状況に迅速に対応するために、新型コロナウイルス感染対策ワーキンググループを設置(菊池勘委員長)、3月2日には日本透析医学会、日本腎臓学会の担当者とともに厚生労働省がん・疾病対策課を訪問し状況説明を行っております。3月16日には菊池勘委員長を講師とし透析施設での感染対策に関して緊急全国WEBセミナーを開催しPPE対応等、具体的な感染対策の情報提供を行いました。
 3月27日には、日本透析医学会からの提案もあり、透析患者のCOVID-19感染状況の把握と行政との折衝を行うことを目的とした日本透析医会・日本透析医学会の合同委員会を新たに設置、5月12日には日本腎臓学会も新たに参加し、現在は3団体による合同委員会として活動し、感染者数の各施設からの報告を集計、週1回の感染状況の公表を継続しています。
 また、膨大なCOVID-19関連論文が出ている中、2020年7月から透析施設の医師やスタッフの臨床に資すると思われる論文の要約を日本透析医会のホームページへ掲載を始めました。
 本年4月には、ワクチンに関する情報提供をQ&Aという形での動画を作成し公開するとともに、直近7月には、透析患者の接種順位に関して3団体合同で厚生労働大臣に要望するなど、感染の状況の推移を見ながら適宜対応を行ってきております。
 現在、第5波が来ることがほぼ確実視されている中、まだ十分には透析患者へのワクチン接種がいきわたっていない状況でこの夏を乗り切らねばなりません。各施設におかれましては、適宜、情報を入手いただくとともに、適切に対応いただきますようお願いいたします。

2.新執行部の誕生

 2021年5月に開催された総会および理事会において、2年に1回の役員改選が行われ新執行部体制が決定しました。
 秋澤忠男会長は、今期も再任いただき日本透析医会の舵取りを行っていただくことになります。秋澤会長のもと、長年にわたり副会長を務められました隈博政先生(くまクリニック)が副会長を降りられ理事として支えていただく形となりました。同じく副会長の篠田俊雄先生(つくば国際大学)が監事に就任されました。その結果、空席となってしまった2名の副会長枠に山川智之先生(白鷺病院)と私、太田圭洋(名古屋記念病院)が就任することとなりました。あまりの重責に戸惑いはありますが、なんとか職責を全うできるよう頑張っていきたいと思います。
 常任理事としては、戸澤修平先生(クリニック1・9・8札幌)が理事に移られ、かわりに北海道から小林真也先生(宮の沢腎泌尿器科クリニック)が常任理事に加わられました。甲田豊先生(甲田内科クリニック)、土谷晋一朗先生(土谷総合病院)のお二人は留任され、新たに安藤亮一先生(清湘会東砂病院)、百武宏幸先生(百武医院)が加わられました。
 また愛知県からは渡邊有三先生も監事として継続して会を支えていただくことになっています。今後、この執行部のもと、さまざまな委員会活動を通して2年間の日本透析医会の運営を行っていくこととなります。会員皆様のご協力をよろしくお願いいたします。

3.さいごに

 早いもので、前回2020年改定からすでに1年3か月がすぎ、これから2022年改定の議論が本格化していきます。2020年改定では、HIF-PH阻害薬の上市に伴い人工腎臓点数がさらに複雑化したのに加え、ESAバイオシミラ−の登場と薬価の引き下げにより56点の大幅な引き下げとなりました。またシャント手術関連の点数が大幅に引き下げられた非常に厳しい改定でした。
 2022年改定の透析関連の動きを予想することは難しいですが、今年4月に行われた中間年薬価改定による薬価の引き下げ、および、その後の医療機関の納入価交渉の結果による本年度薬価調査による薬価改定があることを考えると、包括されている人工腎臓点数はかなり引き下げられる可能性が高いと考えられます。そもそも新型コロナ感染拡大により、財政規律が崩壊し未曽有の財政出動を継続している中、どこまで社会保障費の増加圧縮圧力が高まるかはわかりませんが、財務省のスタンスをみている限りでは厳しい改定環境になる可能性は高いと思われます。
 年々、透析医療機関を取り巻く環境は厳しくなっています。透析医療に対する風当たりは、政治の世界のみならず医療界の中でも非常に厳しいものがあります。その中で透析医療の実情を理解いただき、適切に透析医療を行っていくことができる環境を維持していくことは決してたやすいことではありません。毎年、この日本透析医会だよりで書かせていただいておりますが、この状況を改善していくためには透析医の団結が必要です。現在の透析医療のおかれた状況を分析し、理論武装し働きかけていく必要があることは当然でありますが、実際の交渉過程では、より生々しい組織力、そしてその組織力に裏打ちされた交渉力が重要です。残念ながら、愛知県透析医会会員の約半分は、いまだに日本透析医会へ加入していただいておりません。ぜひ、日本透析医会にご加入いただき透析医の組織としての力を高め、透析医療の将来のために力をお貸しいただきたいと思います。(文責 太田圭洋)


 

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